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コラム概要

第1回 知財界における2015年問題について                  2013年08月05日

 縁有って、本コラムを執筆させて頂くことになりました弁理士の本谷です。
知財には、社会人になって以来、40年来関わって参りました。
当初の特許権の取得を主たる業務とする特許部時代は日陰的存在でしたが、徐々に日が当たるようになり、特許に加えてノウハウ・著作権等を含めた知財マネジメントを主たる業務とする知的財産部の時代には表舞台に立つようになり、隔世の感があります。 では、今後の知財部署はどのようになるのでしょうか?
知財マネジメントに加えて「知的資産の創出と普及」が主要業務となるプロイノベーションの時代になるといわれる中、知財業務(知財部)は如何にすべきかを、皆様と共に考えて参りたいと思います。

 さて、今回は、知財業界において話題になっている(?)特許の2015年問題について考えたいと思います。
特許の2015年問題とは、次のグラフから明らかなように、2008年度から審査請求件数に対し、一次審査件数が上回り、2015年には我が国特許庁における出願滞貨が一掃され、新出願の審査に即時に入れる状態になることが推測されています。
すなわち、我が国においても拒絶理由が無ければ出願後1年以内に特許になる時代に突入するということです。

出典:産業構造審議会第18回知的財産政策部会(平成24年6月25日)資料1

 特許庁の発表によれば、上記グラフから推測されるように、この状況が前倒しされ、2013年度には実現しそうです。
これがなぜ問題?と思われる方がおられると思います。
誰にとって問題かというと、私たち特許事務所において、仕事が減少するという問題です。

 しかし、観点を変えて出願人の立場からすれば、願ってもない好機であり、好機として活用すべきであると思います。 従来は、早さと品質を考慮して、米国又は欧州特許出願を中心に据えて安定的権利を早期権利化しようと考えていたのではないでしょうか?
しかし、ホームグラウンドである我が国において最も早く権利化できるのですから、最大限に活用したいものです。 特に、ネイティブ言語でクレームを検討できるメリットは大きいと思います。 また、日本の審査官の審査力は世界的にトップクラスです。したがって、日本で特許を取得することは、安定した特許をいち早く取得できるということです。

 また、特許審査ハイウエイ(PPH:Patent Prosecution Highway)は既に、米国、欧州、中国、韓国、独等、主要25ヶ国(2013年3月1日現在)と締結し、我が国から外国にされる特許出願の90%以上において利用可能な状況です。
PPHのメリットとして、①早い(簡易な早期審査手続き+オフィスアクション減少)、②安い(オフィスアクション減によるコスト削減、PPH申請自体は原則無料)、③嬉しい(特許率の向上)が有ります。
特に、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)出願において、日本の特許庁が肯定的評価をした場合、日本の特許庁に対しPCT-PPHを申請して特許査定を得た後、外国特許庁に対しPPHを申請すれば、短期間で特許が受けられることが予想されます。 したがって、主要国において安定した特許を取得するには、日本において早期に特許を取得し、PPHを使用することが最も効率的な時代が目前に迫っています。

 さらに、PCT-PPHを活用することによりコスト削減が可能であると推測されます。 もちろん、日本語の曖昧さを自覚したクレーム作り等留意すべき点は多々存在しますが、一考の価値があると思います。 特に、人的・資金的に不利な中小企業において、グローバル化の一策として活用されることをお薦め致します。


 

第2回 米国における登録前情報提供制度の活用 (2013年9月2日)

第3回 意匠再考(1)部分意匠制度について (2013年10月1日)

第4回 意匠再考(2)関連意匠制度について (2013年11月6日)

第5回 中小企業の強みを生かそう (2013年12月3日)

第6回 「元気印」のキーワードと中小企業支援策の活用事例 (2014年1月9日)

第7回 産業財産権によって広範に保護したいときどうしますか? (2014年2月13日)

第8回 意匠登録出願へ出願変更を考慮した特許出願の留意点 (2014年3月4日)

第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!! (2014年4月1日)

第10回 最近の進歩性判断の傾向 (2014年5月8日)

第11回 新しい商標とは?(第1回) (2014年6月3日)

第12回 商標に何を託しますか?(第2回) (2014年7月10日)

第13回 「温故知新」従来技術を活用したイノベーションへの挑戦 (2014年8月7日)

第14回 「中国においてビジネスをする際に知財面において最低限必要なこと」 (2014年9月9日)

第15回 「異議申立制度の復活に乾杯」 (2014年10月7日)

第16回 「意匠制度の国際化」 (2014年11月5日)

第17回 「意匠の国際出願の活用について」 (2014年12月9日)

第18回 「商品・役務のネーミングについて」 (2015年1月8日)

第19回 「職務発明制度について」 (2015年2月5日)

第20回 「秘密情報の保護について」 (2015年3月10日)

第21回 「秘密情報の保護についてⅡ」 (2015年4月8日)

第22回 「自撮り棒」 (2015年5月14日)

第23回 「日本弁理士会による知財キャラバンについて」 (2015年6月9日)

第24回 「プロダクトバイプロセスクレームの最高裁判決について」 (2015年7月14日)

第25回 「Karakuriからイノベーションへ」 (2015年8月17日)

第26回 「今話題の著作権について」 (2015年9月18日)

第27回 「著作権により保護される著作物とは?」 (2015年10月22日)

第28回 「TPPの知的財産分野への影響」 (2015年11月13日)

第29回 「これでよいのか知財教育」 (2015年12月14日)

第30回 「知財教育2」 (2016年1月15日)

第31回 「職務発明制度改正」その1 (2016年2月10日)

第32回 「職務発明制度改正」その2 特許法第35条第4項の解説 (2016年3月11日)

第33回 「職務発明制度改正」その3 「特許法第35条第5項の第6項における指針(案)を踏まえた解説」 (2016年4月19日)

第34回 「職務発明制度改正」その4 特許法第35条第5項の解説 (2016年5月18日)

第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」 (2016年6月24日)

第36回 「御社の営業秘密管理は大丈夫ですか?」 (2016年7月22日)

第37回 「「夏休み」弁理士会活動のPR」 (2016年8月23日)

第38回 「山口大学の知財活動」 (2016年9月26日)

第39回 「取扱説明書の保護を考える」 (2016年10月18日)

本谷 孝夫(ほんや・たかお)

本谷国際特許事務所 所長(弁理士)
℡ 03-6820-8285
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略歴 日産自動車㈱で30年近く特許業務に従事
   その後旭精工㈱で知財の責任者として活躍
   (旭精工㈱は、平成22年に特許庁知財功労賞を受賞)
   平成24年11月事務所を開設。

本谷弁理士
  • 電子認証局会議
  • 株式会社日本電子公証機構 認証サービス iPROVE
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